DIYCITYトップ画面へ TOPへ
ACE HARDWARE JAPAN
工具
住宅設備
クラフト
エクステリア
塗料




浴室のカビを上手に取る

監修

■山田 芳照
DIYCITY代表
DIYアドバイザー
ホームセンター達人
DIYプロダクション代表

<プロフィール>

テレビ番組出演も多くDIYブームの仕掛け人として活躍している。DIYに関する出版も多数。また、イベントなどでの講師経験も豊富。2011年にDIY女子部を立ち上げた。

まず水洗いをしてみる

 カビというと、すぐにカビ取り剤を使うものと考えているかたも多いようです。以前テレビの収録でおじゃましたお宅は、子供さんが小さくて、浴室に入るとついてきてしまうので、カビ取り剤を使ってのカビ取りができなかったということで、浴室の壁から天井までカビだらけでした。

 ところが、実際にやってみると、水洗いだけでカビは、きれいに落ちてしまいました。ユニットバスだったために、ほとんどがツルツルの面だったからです。プラスチックやタイルの表面など、ツルツルしているところは、カビは表面にのっているだけなので、水洗いすれば落ちてしまいます。

 ツルツル面以外のタイル目地や塗装面などもある程度は水で落ちるので、まずは水洗いしてみましょう。

 なお、水洗いしたり、洗剤をつけて掃除をしても取れない汚れ、しかもだんだん増えていく汚れはカビだと考えられます。

カビ取り剤を塗ったらこすらない

 「カビ取り剤でなかなかカビが落ちない」「においがきつくて、いや」という声を聞きますが、それは多分ブラシなどでこすっているからです。

 塩素系カビ取り剤でカビを取るには、カビを殺菌と漂白をするわけですから、時間が多少かかります。カビ取り剤を塗ってそのままにしておくことが、カビ取りの大切なポイント。時間がたつにつれて殺菌が進み、漂白されてカビは消えていきます。これをこすると、塗ったカビ取り剤を散らしてしまうので、殺菌漂白する時間がなく、逆にカビ取り効果は落ちてしまいます。

 つまり、カビにカビ取り剤を塗ったらサッと浴室から出てしまうことが、カビ取りのポイントです。

 なお「ルックカビ取りジェル」(ライオン)は、黄色いジェル状にスプレーできるようになっていて、黄色の色が消えるまでそのままにしておくようになっています。黄色が消えたらカビ取りが終了ということで、自然とこすらない習慣がつくカビ取り剤です。

 ところで、カビ取り剤を塗るとき、水洗いして濡れた状態に塗ると薄まってしまって効果が落ちます。拭き取るか、乾かしてからカビ取り剤を塗るようにしましょう。

 またカビ取り剤は2〜3年たつと効果がほとんどなくなるので、古いものを使うと、カビが取れない場合があります。

カビ取り剤のにおいが気になる場合

 最近の塩素系カビ取り剤は、全般に以前のカビ取り剤よりもにおいはマイルドになっていますし、塗ったらサッと浴室から出てしまえば、においもがまんできる範囲かもしれません。

 どうしてもにおいが気になる場合は、塩素系成分を40%カットして、においや目への刺激を少なした「カビキラーマイルド」(ジョンソン)があります。そのかわりカビが消えるまで10数分かかります。

 ただ先日、講習会でカビ取り剤のフタを取って、においをかいでみたところ、「カビキラーマイルド」よりも、一番においが少なかったのが、ジェル状の「ルックカビ取りジェル」(ライオン)でした。またチューブでジェル状の「カビ取りジェル タイル用」(ヘンケルジャパン)も、においはほとんど気になりません。
カビキラーマイルド ルックカビ取りジェル カビ取りジェル タイル目地用

塩素系カビ取り剤を使うときに注意すること

カビ取り剤と酸性洗剤を混ぜると危険 強いアルカリ性
 ビニール手袋などをし、皮膚につかないように、目に入らないように注意します。手についてヌルヌルするときは、お酢で洗うと中和されて直ります。カビ取り後は、必ず水洗いか水拭きをして、アルカリ分を落としておきます。

色が抜けたり、変色する
 衣服につくと、漂白されて色が抜けるので、不要のワイシャツなどを着て作業することをおすすめします。

 また、浴槽、金属、木、輸入タイルなどにつくと、変色することがあるので、ビニールでカバーしたり、濡れた雑巾を置いたり、隅のほうで試してみるなどするといいでしょう。

換気をよくする
 あのツンとするにおいを吸い込むと気分が悪くなることがあります。最近のカビ取り剤は臭いをやわらげてあるものも増えていますが、やはり窓を開けたり、換気扇をまわして換気をよくして作業すること。また広範囲にカビ取りをするときは、何回かに分けて作業することをおすすめします。

酸性洗剤と混ぜない
 酸性洗剤と混ざると、塩素ガスが大量に発生して危険です。「まぜるな危険」の表示のある酸性洗剤には、気をつけてください。

カビ取り剤を塗るには塗装用具が便利

 塩素系カビ取り剤は、泡状やジェル状にスプレーできるようになっています。ある程度の範囲ならば、もちろんそのままスプレーすればよいのですが、泡状やジェル状でたれにくくなっているとはいえ、垂直面やはりたれてきたり、無駄に吹きつけてしまうことがよくあります。しかも、広い範囲だとハンドスプレーは手が疲れてしまいます。また、どのカビ取り剤にも「目より上にはスプレーしないように、スポンジなどで塗るように」という注意書きがあります。壁の高い部分や天井はどうして塗ればよいか悩むところです。

 そこで、塗装用具を使って、楽にカビ取りをすることをおすすめします。スポンジだと水を含んでしまいますが、塗装用具は塗りつける道具なので、たれずに効率よく塗ることができます。

タイル目地にはミニタイプのコテバケを

 タイル目地のカビ取りにおすすめなのがミニタイプのコテバケ「ミニコテバケ」(アサヒペン)【図1】「はけはけミニ」(インダストリーコーワ)、「ミニブラシ」(ハンディ・クラン)などです。ミニタイプのコテバケのモケット部分(塗料をつける部分)にカビ取り剤をスプレーして、タイル目地に塗っていきます。これだと、カビ取り剤に無駄がなく、力もいらず、気楽に塗れます。

 またタイル壁の高い部分を塗るのも問題ありません。塗ってそのままおき、カビが消えたら水洗いすればOKです。

 なお、「カビ取り剤を使っていると、タイル目地が減ってくるようで、目地に悪いのでは」という質問をよく受けます。タイル目地はホワイトセメントなどでアルカリ性で、カビ取り剤もアルカリ性なので傷むことはありません。カビ取り剤を塗って、ブラシなどでゴシゴシこすると減ってしまいます。

タイル目地は、ミニタイプのコテバケにカビ取り剤をつけて塗ると便利。【図2】

図1
「ミニコテバケ」(アサヒペン)

図2
タイル目地は、ミニタイプのコテバケで


壁などフラットな面にはコテバケを

壁などフラットな面にはコテバケを 下がタイルで、その上が塗装されている壁などに、カビが広がっているときには、「コテバケ」がおすすめです。洗面器などの容器にポリ袋などを敷き込み、その上でコテバケのモケット部分にカビ取り剤をスプレーします。

 ビニール手袋などをした手で押さえ、カビ取り剤をモケット部分になじませてから、壁に塗っていきます。コテバケは上から下へ、あるいは左から右へというように、一方方向に動かすようにします。なお、塗装用具の「つぎ柄」を、コテバケの柄にネジ込むと、壁の高いところも楽に塗ることができます。

 カビが消えたら、水洗いか水拭きをしておきましょう。

壁のフラットな面は、コテバケにカビ取り剤をつけて塗る。高いところはつぎ柄をつける。(図参照)


天井など凹凸がある面はローラーバケとつぎ柄で

「ローラーバケ」と「つぎ柄」 天井のカビ取りは、どうしたらいいか困っていることが多いようです。凹凸がある井には、「ローラーバケ」が最適で、これにも「つぎ柄」がネジ込めます。長いつぎ柄を使えば、真下で作業しなくてすむので安心です。

 コテバケと同じように、ポリ袋などを敷き込んだ洗面器などの中で、ローラーにカビ取り剤をスプレーします。あるいは洗面器にたまったものをつけ、ビニール手袋をした手で握ってなじませます。

 これを天井に塗っていきますが、ローラーはころがすだけ。コテバケとちがって往復させてOKです。ただ、カビ取り剤は透明なので、塗ったところと、塗っていないところがわからなくなってしまいます。隅から順番に塗るようにすると、塗り残しがありません。

 なお、天井の場合は後の水洗いが問題です。シャワーなどで洗えればよいのですが、洗えないときは、ローラーを水洗いして、水をつけたローラーをかけるというのも方法です。

1.ポリ袋などを敷き込んだ容器の中で、カビ取り剤をローラーにつける。

2.ビニール手袋をした手でつかんで、なじませる。

3.隅から順にローラーで塗っていく。なおローラーは細いタイプの「スリムローラー」がおすすめ。



掃除感覚でカビ取りができる安全な乳酸系カビ取り剤

かびコロジ 塩素系カビ取り剤は、においがいやだったり、目に入ったりすると危険なので使いたくないという人も。そんな場合には乳酸系のカビ取り剤「かびコロジ」(サンデーペイント)がおすすめです。ヨーグルトなどに使われている発酵乳酸が主成分で、刺激臭がなく、弱酸性なのでビニール手袋なしで作業ができ、衣服についても脱色しないので、安全に気楽にカビ取りができます。

 使い方は、カビにスプレーして、カビを殺菌する間10〜15分そのままにし、その後ブラシやタワシでこすって、水洗いしてカビをこすり落とします。カビの殺菌力では塩素系カビ取り剤に負けませんが、漂白効果はないので、塩素系のようにカビが消えるということはありません。ただ殺菌されたカビは落ちやすいので、ブラシなどでこすり落とすと、かなりきれいになります。

 ひどいカビでなければ、掃除感覚でカビ取りができるので、絶対におすすめです。ただし、こすれない場所には不向きです。
<
Copyright (C) 1997 DIY CITY All Rights Reserved. Designed by Dyna City Corporation