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【塗装】  塗料の基礎知識

監修

■山田 芳照
DIYCITY代表
DIYアドバイザー
ホームセンター達人
DIYプロダクション代表

<プロフィール>

テレビ番組出演も多くDIYブームの仕掛け人として活躍している。DIYに関する出版も多数。また、イベントなどでの講師経験も豊富。2011年にDIY女子部を立ち上げた。

塗料を塗る目的は

 塗料を塗る目的は、大きく分けて2つあります。ひとつは「塗装するものを守る」ということ。塗料はものの表面に塗ることによって、丈夫な塗膜をつくり、ものを保護します。屋外ならば、雨や風、太陽光線などから守るなどの耐候性を持ち、また鉄をサビから守り、木は腐るのを防ぐ、プロックやコンクリートは風化するのを防ぎ、あるいはカビ止め、防虫防腐などの効果を持つものもあります。
 もうひとつは「きれいにすること」。古い塗膜がはがれているところを塗りなおしてきれいにする、汚れたところに塗ってきれいにするなど、塗装して美しく仕上げることができます。それに加えて、色を塗ることによってイメージを変える、色の組み合わせを考えるなどの、カラーコーディネートを楽しむことができるのも塗装の魅力です。

塗料は何でできているか

 塗料は「塗膜になる成分」と「塗膜にならない成分」からできています。

 塗膜になる主成分は樹脂で、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂などの合成樹脂が使われています。塗膜になる成分のもうひとつは、色を出す顔料で、塗膜に厚みをもたせる役目もしています。そのほか、顔料の沈澱防止剤、色分かれ防止剤、防腐剤、防カビ剤など、それぞれの塗料に必要に応じて添加剤が入っています。

 塗膜にならない成分は溶剤で、塗料を液体にして塗れるようにし、塗膜が乾くと、揮発や蒸発してなくなってしまいます。

水性塗料と油性塗料とラッカー系塗料

 ひと昔前までは、塗料というと油性塗料というイメージがありました。ところが今ホームセンターなどの塗料売場に行くと、ほとんどが水性塗料で、油性塗料は数えるくらいしかありません。なぜ水性塗料が増えてきたかというと、ひと言でいえば使いやすいからです。

 油性塗料は、まず強いシンナー臭(有機溶剤の臭い)がするので、家の中で塗ると、いつまでも臭いに悩まされます。油性塗料をうすめるには、ペイントうすめ液を使いますが、うすめるだけでなく、手についたときもうすめ液でなければ取れませんし、使った塗装用具を洗うのも、基本的にはうすめ液を使うので不経済です。またほとんどの油性塗料は、乾燥に何時間もかかります。

 水性塗料はベースが水なので臭いがきつくありません。といっても以前の水性塗料は、水性独特の臭いがありましたが、最近の水性塗料は技術革新によって無臭と表示されている塗料が出現し、ほとんど臭いがなくなっています。
またうすめ液が水なので、手についても水で洗えば取れ、塗装用具も水でジャージャーと楽に洗うことができますし、乾燥時問は30分から1時問ぐらいと、油性塗料よりも速いのも使いやすいところです。

 ラッカー系塗科は乾燥時間が5~10分と極端に速いのが特徴です。ラッカー系はスプレー塗料が主で、ラッカーうすめ液はうすめるためには使いませんが、手などについたときに拭き取るときに必要です。ただしクリヤーラッカー、ラックニス、速乾ニス、などの場合には、うすめるためにも使います。

塗料とうすめ液

 塗料の溶剤は液体にして塗れるようにするためのもの、うすめ液は塗装するときに塗料をうすめて、塗りやすい粘度に調整するためのもので、溶剤とうすめ液は基本的には同じです。

 うすめ液は、塗料が濃すぎて塗りにくいときにうすめたり、塗装用具を洗うとき、また塗料がこぼれたり、手や衣服についたときに落とすのに使います。水性塗料には水を、油性塗料にはペイントうすめ液を、ラッカー系塗料にはラッカーうすめ液を使いましょう。塗料容器には、適したうすめ液が表示されているので、間違えないこと。なおペイントうすめ液は揮発性の有機溶剤で、ラッカーうすめ液はペイントうすめ液よりも揮発性が強く、溶解力も強い混合有機溶剤です。

 またシンナーという言葉をよく聞きますが、シンナーは英語でTHINNER、つまりうすめるものという意味で、シンナーとうすめ液とは同じものです。したがってペイントうすめ液のことを塗料用シンナー、ラッカーうすめ液のことをラッカーシンナーと呼ぶこともあります。ひとくちにシンナーといっても2種類あるので、注意してください。
水性塗料は基本的にはうすめないで塗るが、塗りにくいときには水でうすめる。
手についたときや、塗装用具を洗うときなどは、水で洗える。
油性塗料は揮発しやすいので、必要に応じてペイントうすめ液でうすめて塗る。
手についたときや、塗装用具を洗うときは、基本的にはペイントうすめ液でなければ洗えない。
ラッカー系のスププレー塗料は、うすめる必要はないが、手などについたときはラッカーうすめ液でしか取れない。なおクリヤラッカー、ラックニス、速乾ニスのうすめ液として使用する。

水性塗料は水に濡れても大丈夫?

 水性塗料は手などについたら水で落とせるというと、水に濡れるところに塗っても大丈夫かしらと考えてしまう人もいると思います。もちろん水のかかるところに水性塗料を塗っても大丈夫。浴室用塗料や屋外に塗る塗料も、みんな水性のものがあります。

 塗料は、樹脂と顔料と溶剤からなっています。この溶剤は、油性塗料はペイントうすめ液で、水性塗料は水です。塗料を塗って乾くということは、溶剤が揮発したり、蒸発することで、乾いたときに残るのが油性塗料、水性塗料ともに塗膜(樹脂と顔料)ということになります。油性塗料も水性塗料も乾いてしまえば塗膜が残り、性能は基本的にはほとんどかわりません。

 したがって、水性塗料は乾く前の状態のときに水がかかると塗料が流れてしまいますが、いったん乾いてしまうと水がかかっても大丈夫なので、安心して使ってください。
水性塗料、油性塗料の乾く工程のイラスト
水性塗料、油性塗料の乾く工程のイラスト 水性塗料、油性塗料の乾く工程のイラスト
水性塗料も油性塗料も、塗ると溶剤(水、ペイントうすめ液)が蒸発、揮発する。
完全に乾いて水、溶剤がなくなると、樹脂と顔料が残り、その粒子がたがいにくっつき合ってフィルム状になると、水性も油性も同じで、もう水に溶けない。

 

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